整形外科でMRI検査の結果、かなり重度のヘルニアと診断され、手術を勧められるレベルでした。
しかし、仕事を休みたくない。入院したくないという理由から手術をしないという選択をし、1週間に1~2回と集中的に施術を継続した結果、日常生活に問題ないレベルまで改善した症例です。
患者情報
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40代 男性
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職業:立ち仕事
ご来院時のお悩み
強い腰痛、その後、左のお尻、太もも、ふくらはぎにかけて、しびれと強い突っ張り感が出現。
仕事中に突然腰痛が発生したそうです。次の日に当院へお越しくださいました。
ご来院時の状態

(生成AIによるイメージ)
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立位では右足に体重が乗っていて、体が右へ傾いている
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左足に体重を乗せると、左腰〜足にかけてしびれとツッパリ感が出現
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仰向け・うつ伏せは10秒ほど同じ姿勢でいると腰と左お尻に強い痛みが出現
施術の前のバランスチェック。上半身の可動性に左右差が見られ、左肩が上がりにくいことが確認できた。下半身は痛みのために判別がつかなかった。
当院では、身体に沿った左右の緊張差を調べ、体に生じている無駄な緊張を取り除き、体のバランスを整える施術を行います。
なんとか寝た姿勢で全身の歪みを確認。

歪みの検査は、患者さん本人が動くのではなく、術者が関節を動かして判断します。
両肩を同時に、患者さんの筋肉を収縮させないように動かすことで、どこに緊張があるのか調べることができます。
仰向けで両手を上げた姿勢では、右手が上がりやすく左手が上がりにくいことがわかりました。(右肩は肩を上げる筋肉が過剰に働き、左肩は脇を締める筋肉が過剰に働いているということが、この検査でわかりました)

うつ伏せでは左股関節を深く曲げると症状が軽減することがわかりました。
しかしその姿勢では施術が難しいため、初期は椅子に座った状態で上半身の左右差を無くす施術を中心に行いました。

施術後、検査により肩周囲の緊張は取れ、左右差が解消したことが確認できます。
しかし仰向け・うつ伏せで長時間寝ることはできず、改善は「やや軽減」程度でした。
2回目の施術日の前日に整形外科でMRI撮影。かなりひどい腰椎椎間板ヘルニアであることが分かった。

画像を確認したところ、かなり重度の腰椎椎間板ヘルニアが認められました。
緑の〇の部分が正常な状態です。
赤〇の箇所は、椎間板が後方に飛び出ており神経を圧迫している様子がよくわかります。
神経は、脳から五感をつかさどる目や耳などの感覚器、皮膚、内臓、筋肉と全身を張り巡っており、体が今どうなっているかの情報を収集したり、その環境に応じて命令を伝えてアクションを起こさせるという伝達係を担っています。
神経は押しつぶされる、引っ張られる、ねじられると言った機械的な刺激を受けると神経としての正常な働きができなくなります。筋肉や皮膚につながる神経が機械的な刺激を受けることにより、痛みがでる、しびれる、力が入らなくなる、冷たく感じる(冷感)、熱く感じる(灼熱感)、感覚が鈍くなる、感覚が鋭敏になるといった症状が出ます。
これを「神経症状」と呼び、特に「痛い」というものに焦点を当てたものを「神経痛」と呼びます。
画像を確認させていただき、「ここまでのヘルニアであれば、手術のほうが早期改善の可能性が高い」
と正直な感想をご説明しました。
しかし、ご本人からは、入院・手術への強い抵抗と、仕事を休みたくない。という理由から、当院での保存的治療を継続することになりました。
2回目。うつ伏せによる膝の検査ができるようになり、右膝が曲がりにくい様子が確認できた。今回から施術だけでなく、骨盤を整える働きのあるトレーニングを開始しました。
少しの時間であれば、うつぶせ寝が可能であったため、下半身の歪みの検査を行いました。

これも、上半身の検査と同じく術者である私が両膝を同時に曲げ、筋肉の左右バランスを確認します。
右膝は曲がりにくく、左膝が曲がりやすいといった左右差が判明しました。右の太ももの表面が、必要以上に緊張していることがわかります。
太ももやお尻の筋肉は骨盤からつながっているので、これらの筋肉の緊張に左右差が生じているということは、当然骨盤を支える働きもバランスを崩しているので骨盤が歪んでいるという判断ができます。
骨盤が歪んでしまうと当然背骨の配列も乱れます。反対に、体の筋肉の左右バランスが整うと骨盤のずれも改善され、背骨の安定性、可動性が向上するはずです。
依然として長時間の仰向け・うつ伏せ姿勢は困難だったため、再度座った姿勢で施術をおこないました。

施術途中、仰向けの際に足を上げると症状が軽減することが判明しました。
施術を受けていただく際には、限りなく症状の出ない姿勢で行いたいので、上半身の施術は仰向けで椅子に足を乗せた姿勢でを実施しました。
また、骨盤の歪みを改善するトレーニングを開始しました。

上半身と共に下半身も検査を行い、それぞれ左右差が解消していることを確認し、治療を終了しました。
今回も大きな変化は見られず、「少し軽くなったかな」という程度でした。
4回目の施術により、うつ伏せ、仰向けで寝ることができるようになった。
3回目、4回目と施術とトレーニングを繰り返し、4回目の施術後に大きな変化が見られました。
足を伸ばして3分以上仰向け可能となり、うつ伏せにもなることができるようになりました。これにより、背骨、腰部、臀部、両脚への本格的な施術が行えるようになりました。
長時間の仰向け、うつ伏せの姿勢は左下半身の症状が発現するため、違和感が出はじめたら、うつ伏せ→仰向け、仰向け→うつ伏せと体勢を変えながらの施術を行いました。
施術後は左足に体重を乗せても、やや左お尻に筋肉の張った感がでるくらいまで改善してきました。ただ、立っている状態から体を左にねじる動作を行うと、左お尻から左すねのあたりまで筋肉の突っ張った感じが出ていました。
5回目の施術以降、順調に症状が改善されていく。

施術開始前の仰向け姿勢では、右足は降ろしていても症状はでなくなっていました。
施術後は、
椅子に足を載せなくても長時間寝られるようになりました。
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左足へ体重を乗せても、症状が出ない日が出てきました。
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左へ体をねじっても軽い突っ張り感程度で、左下半身生じたしびれや違和感は消失しました。
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歩行が劇的に改善(ご本人談)
週1〜2回の施術を継続し、状態は回数を重ねるごとに改善していきました。
9週間、11回の施術で問題なく日常生活を送れるようになり、現在も定期的に施術に来ていただき体をメンテナンスしています。
ご来院当初は「ここまで重度だと改善は難しいのではないか」と感じるほどの状態でした。しかし、9週間集中して通院していただいたことで、大幅な改善を得ることができ手術を回避することができました。


体は一度整えても、痛みによって生じるかばい動作や、日常生活による行動の癖(鞄を持つ癖、歩く癖)によって再び歪んでいきます。
重度の腰椎椎間板ヘルニアであっても、頻度高く身体全体の左右バランスの改善と適切な筋力トレーニングを行うことで、日常生活に何ら問題ないレベルまでもっていくことが可能なのだということがわかり、私自身、大変勉強させていただき、実績となりました。
症状が治まってからはMRIを撮影していないので、いまヘルニアがどうなっているのかはわからない状態です。ただ、一度壊れてしまった椎間板は、きれいさっぱりとは元に戻ることはないので、何のメンテナンスもせず放置すると症状が再発するのは目に見えています。
今後も、定期的なメンテナンスに加え、仕事中の身体の使い方や体のバランスを整えられるようなセルフケア、トレーニングを続けていく必要があると考えています。
※本症例は改善が得られた一症例であり、すべての方に同じような結果を保証するものではありません。







